山に設置されたバイオトイレ。汚水処理設備をリプレイス!
2022.10.27

滋賀県長浜市 山門水源の森

弊社から車で約15分。福井県との県境に近い、滋賀県長浜市西浅井町の最北端に広がる滋賀県内最大級の湿原。里山の森に囲まれた “山門水源の森”。
北陸の寒地性と盆地の暖地性の気候をあわせ持つ地域で、散策すると季節ごとに多種多様な生態系を目にすることができます。

そんな“山門水源の森”にバイオトイレが設置されたのは、2002年のこと。
それから19年が経過した2021年に、滋賀県新型コロナウイルス感染症対策基金事業の支援を受けて既設トイレの洋式化に着手しました。

既存の汚水処理装置は、バクテリアを繁殖させることで汚水を処理する生物ろ過タイプのものでしたが、改修の翌年、その汚水処理装置が経年による老朽化でうまく機能しなくなりました。
そこで、トイレの洋式化から1年後。今度は汚水処理設備を含めたリプレイスを計画することに。

ところが、既存の汚水処理装置を設置したメーカーに問い合わせてみまたところ、なんとそのメーカーはすでに廃業していたそうです。

故障したトイレをそのまま放っておくわけにもいかず、早急に別の汚水処理設備メーカーを探すことになりました。


メンテナンス性では群を抜く汚水処理設備

そんな経緯もあって、インターネットで汚水処理設備のメーカーを探していたところ、おとなり福井県に『newto』という汚水処理装置を製造する会社があることを知ったそうです。

お問い合わせをいただき、ご依頼内容に近い事例として福島県飯館村の“あいの沢キャンプ場”の実績を紹介したところ、「探していたものにぴったりだ!」と。
早速、リプレイスの提案をさせていただくことになりました。

ただし、今回は弊社を含む3社競合になるとのこと。
ほかの2社が取り扱っていたのは、おがくずで排泄物を分解・処理するタイプのものと、『newto』と同様にひたすら水を循環させるタイプのもの。

この3社の提案内容を比較検討し、最終的に採用されたのが『newto』でした。

決め手となったのは、弊社の事務所が“山門水源の森”から車で15分という近距離にあったこと(残り2社は九州と東北のメーカーだったそうです)。
さらに、3社の製品のなかでもっともメンテナンス性が高いという点も評価されました。

ご参考までに、奈良県明日香村の高松塚壁画館に設置した『newto(システマグランデ)』は、現在(2022年10月)までの15年間、一度も汲み取りせずに汚水処理を繰り返しているんですよ。

日々の維持管理にかかるコストと労力は、できるだけ小さいに越したことはありませんよね。


積雪にも対応可能なトイレユニット

さまざまな生態系の広がる湿原というだけあって、現地調査で訪れた際にはササユリを見ることができました。
芽が出てから花が咲くまでに5年という月日を要し、しかも寿命はわずか10日ほどといわれるササユリは、地域によっては絶滅危惧種にも指定されている希少な植物です。

駐車場に車を止め、森に入ってゆるい傾斜を上っていくと、右手に山小屋が見えてきます。
この建物が、湿原として4万年もの歴史をもつという“山門水源の森”の楽舎(管理事務所)であり、入山口となる地点です。

そして、その楽舎(管理事務所)のはす向かいに、もうひとつ小さな小屋が。
この小屋が、約20年前に設置したというバイオトイレの建物です。

汚水処理設備のリプレイスとあわせて、このトイレ棟の横にユニットトイレをもうひとつ設置し、便器の数を増やすことになりました。

お施主様が強く要望されたのは、「積雪のある地域なので、雪がトイレの後ろ側へ落ちるようユニットの屋根は片流れにしてほしい」ということ。

もうひとつは、「汚水処理設備の故障やトラブルがあったときには、すぐに飛んできてほしい」というものでした。
既設の汚水処理装置のトラブルに、よほどご苦労なさったのでしょう。

もちろん、おとなり滋賀県に限らず、全国どこでも設置後のフォローはきちんと行いますので、遠方のお客さまもその点はご安心ください!


既存便器と新設の便器、処理槽を一体化

設置工事は9月中旬に行われました。猛暑は過ぎたものの、まだまだ暑さが残ります。
楽舎(管理事務所)の目の前にある湿地ではアカハライモリが泳ぐ姿を目にすることができました。
時折、山に住むニホンジカも姿を見せるそうですよ。
改めて、“山門水源の森”における生態系の豊かさを感じさせられます。

リプレイスにあたり、今回は浄化槽型のFRP汚水処理槽『newto(システマグランデ)』(WT50-S0)を導入。既設の処理槽1個は、原水槽として再利用します。

団体客も多く訪れるため、処理回数は100回/日を見込んでいます。

トイレユニットは、洋便器1個を備えた軽量鉄骨の『newto(ガビネット)』。
これを、一年前に洋式化したばかりの便器2個と配管でつなげば、自己完結型の循環式トイレの完成です。

処理槽はトイレ棟の裏に埋設します。

片流れ屋根のコンパクトなユニットトイレは、トイレ棟の山側へ。コンクリートの犬走りの上に設置します。

ただ置くだけですが、トイレ棟の軒や木の枝が出っ張ってじゃまをするため、思ったよりも手間のかかる作業となりました。

トイレユニットを慎重に設置していきます
次に処理槽を設置します

処理槽にろ材のボルカナイトを入れ、水をはります。今回、処理槽の水は山の湧き水を引いてきました。

埋め戻したあとのマンホールから見る処理槽

ユニットトイレのドアにピクトサインを貼って、完成です!

新しく設置したユニットトイレは女性専用になります。見た目はコンパクトですが、既存トイレに比べると出入り口が広く、使い勝手もよさそうですね!


安心して湿原散策をお楽しみください!

設置工事当日も、“山門水源の森”は自然散策に訪れた団体客でにぎわっていました。

汚水処理装置の故障で長らくトイレが使用できず、ハイカーの皆さまも大変ご不便されたことと思います。

これからは、『newto』導入で機能性・清潔感ともにUPしたバイオトイレを存分にご活用ください!
そして、今後とも“山門水源の森”がより多くの人々でにぎわい、価値ある生態系が末永く引き継がれていくことを、心より願っています。

自然エネルギーを利用した
循環式トイレで
あなたの街の地域循環を促します
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